診療コラム

お口の健康と力学

お口の健康と力学

口腔内の傷みは力のアンバランスから

口腔内の虫歯や歯周病は一度に全体に発症していくことはまれですね!
その特定の発症場所は、よく診査をしてみると応力が集中する所であることが多いのです。
そうした応力のよって傷みが進み壊れ、次なる応力の標的に移っていき、順々に傷む歯が増えていくパターンが思いのほか多いものです。

お口の中の力学を考える場合、実際に力をかける出力側の問題と力を受ける歯列(受け皿)側の問題とに分けて考えると、解りやすくなります。

受身としての歯列の問題

1)一番力の出る、奥歯の真ん中でかんだときの接触の過不足
2)前後左右へ顎をずらした時の移動した時の出来るだけ多くの接触、バランスの欠落
3)顎の動きを規制する適正な歯の傾斜
(奥歯の凸凹具合、前歯の重なり)の欠落
4)本来の歯列の流れ
(連続性)の喪失
5)欠損の放置
6)適正な物理的性質をもった材料によるカブセモノ、ツメモノの使用

出力としての咬み加減

1)咬合力の増加(体重増加、身体、姿勢の変化)
2)あまりに硬い物の嗜好傾向
3)咀嚼回数の低下
(咀嚼数が低下すると硬い物が食べたくなります)
4)縦咬み(硬い物、大きな物はタテガミがち。本来は顎を回しながらの咀嚼が望ましい)
5)傾向的くいしばり(本来は非接触、あるいは横にずれた位置での軽い接触が正常)
奥歯においての、真ん中での軽い接触でも長時間になると歯への負担は大きくなります。
無意識のことが多いのですが、注意、自分の監視によって軽くすることは出来ますので試みる価値はあります。
一般に"くいしばり"は"歯ぎしり"より功罪が大きいようです。

 

以上、ご覧いただいてお分かりのように、歯科医が出来ることは受身側の歯列の修正しか出来ません。
たとえ完璧な歯列や天然の歯を持っていても異常な出力が続きますと、残念ながら歯列は徐々にあるいは急速に崩壊に向かって行きます。

同じ70歳でも歯の残っている方と喪失の進んでいる方が存在するわけは、実はこの出力傾向の差によるところにあります。
もちろん他の要因も絡んでくるのですが、出力傾向の見直し(習慣)は、おおいに注目すべき点なのです。

咬む事は生命活動、生活の質に大きく影響しますので、十分咬めるように整備して、またよく咬んで頂きたいのですが、同時に丁寧に使っていただくことも大切なんです。

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